2009年5月25日月曜日

朝日新聞に掲載されました!

5月23日朝日新聞朝刊に掲載されました!

政治コラム 政態拝見 編集委員峰久和哲 総選挙の行方 カギを握るか20代有権者

次の衆議院総選挙をめぐり、「投票率はあまり高くない方がいい」と自民党の古賀誠選挙対策委員長が発言したのに対して、麻生首相は「高い方がいい」と反論した。じつは、正解はこうである。
「投票率の高低にかかわらず、無党派層の心をつかんだ党が勝つ」
小泉純一郎元首相の「デビュー戦」だった01年参院選は、投票率が56.44%の低さで自民圧勝。05年の「郵政総選挙」は67.51%の高さでも自民圧勝だった。どちらの選挙でも、無党派層がこぞって自民党に投票した。小泉政権下でも03年衆院選と04年参院選は無党派層の多くが野党に投票し、自民党は苦戦した。
「低投票率の方が、組織力のある自民・公明に有利」というのが常識とされてきたが、すでに通用しなくなっている。公明党はともかく、自民党の「組織力」は、今ではほとんど機能していない。

無党派層の中でも「未開拓」の大集団があること、各党は気づいたほうがいい。若年層、とりわけ20代である。
05年衆院選の投票率は03年衆院選を7.65%上回ったが、総務省のサンプル調査で年代別に分析すると、20代の伸びが他の世代より圧倒的に高かった。35.62%から46.20%への10.58%の伸び。元が低すぎたからとも言えるが、過去3回続けて30%台に低迷していたのに比べると、大きな変化である。
その20代は、05年衆院選ではどんな投票行動をとったか。朝日新聞社の出口調査では、比例区で自民に40%、民主に33%。30~50代も自民が多かったが、20代よりは接戦だった。
20代は「利害」や「人間関係」よりも「メッセージ」に強く反応する傾向がある。メッセージ発信力が強かった小泉氏への共感が強かったようだ。さて、次の総選挙で20代はどう動くのだろうか。

財団法人「明るい選挙推進協会」常務理事の牧之内隆久氏は「若者の選挙への関心は高くなった。雇用不安定などを考えると、政治は他人事ではなくなってきたのではないか」と話す。関心が高くなって要因として、05年衆院選では「小泉劇場」が第一に挙げられるが、今はもっと切実な生活実感なのではないだろうか。
若者が自分たちで投票率向上を目指す動きは各地にある。その一つ、関東の8つの大学の学生で昨年立ち上げた「ivote」(原田謙介代表)は、メールとインターネットで総選挙への投票を呼びかける。投票日には登録者全員に投票を促すメールを一斉送信する。目標は10万人登録。28日には東京渋谷の居酒屋で6政党の国会議員を招いた「若者と政治家の交流会」を開く。事務局長の滝本圭さんは「これまで投票率が低い若者のことを無視しても、候補者は当選できた。ivoteの活動は、政治家に若者のことを考えさせることにもなる」と話す。
有権者の中で、これから一番長生きするのが20代。その世代が主役にならなければ、日本の将来像は描けない。


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